Vol.2 たまプラーザ商店街へようこそ!~商店街から発信する“ウェルビーイング”~

子育て世代もシニア世代も活気あふれる街、たまプラーザ。この街を陰日向で支えているのが、駅を中心に広がる3つの商店街。“ウェルビーイング”な街づくりに積極的に取り組んでいます。
そこで、3つの商店街の会長さん方に集まっていただき、街づくりにかける想いやウェルビーイングの取り組みについてお話を伺いました。


「一社)たまプラーザ中央商店街」会長 松本 茂さん、「たまプラーザ駅前通り商店会」会長 小松礼次郎さん、「たまプラーザ商店会」会長 朝香 好平さん。「たまプラーザ連合会」の名称で3商店街協力して取り組んでいる活動も多い。

商店街発! 街の人のためのウェルビーイング

▶3つの商店街が中心となって早くから「ウェルビーング」の取り組みをされていらっしゃいますが、その活動についてお聞かせください。

小松さん(以下敬称略):2017年からウェルビーイングをテーマに転倒予防や認知症予防などのイベントを開催し、専門家の講演や体力測定などを行っています。商店会は、商店街の人たちの健康を守る役割を担っていますが、それをさらに街の人たちにまで広げた形です。

――この活動を始められたきっかけは何だったのでしょうか?

朝香さん(以下敬称略):私は50年くらい前にたまプラーザに治療院を開きました。患者さんは高齢者の方が多かったのですが、治療の途中で急に来なくなってしまう。どうしたのかな、と思っていると、転倒して入院してしまったとか、それで認知症状が出て老人ホームに入られたとか、あるいは他界した、という話を聞くようになって、自分の仕事にむなしさを感じていました。そこで、どうしたら高齢者が最期まで元気に、ピンピンコロリで他界できるかを考えるようになり、2013年、NPO法人 神奈川県転倒予防医学研究会を発足させました。

<転倒予防教室>

神奈川県転倒予防医学研究会では、週1回、たまプラーザ地域ケアプラザで「青葉GoGoクラブ」を開催。転倒予防の体操と歌で楽しく介護予防を訴求している。高齢の方の仲間づくりの場にもなっている。

朝香:当時は老人ホームで転倒予防の指導をしていたのですが、初代たまプラーザ商店会の会長が「これからはこの街ではこういうことが一番大事になる。ぜひ商店街でやってもらいたい」とおっしゃって、2017年3月に初めて「健康フェス」を開きました。たまプラーザ連合商店会の後援をもらってはじめての大きなイベントでした。

<健康フェス>

2024年4月に行われた健康フェスの様子。

――商店街が健康フェスを開催することを、みなさんはどのように思われていたのでしょうか?

小松:実はこのころ、商店街も、あまり景気の良くない時期が続いていました。朝香さんの言っているのと同じような場面に直面していたんです。少し前まで買いものに来てくれていた高齢の方が来店されなくなる、とかですね。今後、若い世代に来てもらえるか、という不安もありました。そんな中、来年こそは、と思っていたところで、あのコロナの流行ですからね。

――タイミング的にはぴったりだったというわけですね。

とはいえ、このようなイベントをやりたいと言われたときには最初はびっくりしました。専門知識も必要ですし、こんな大層なことを自分たちでやろう、商店街でやろう、なんて真剣に考えているわけですから。本当に私たちにできるのかと。

これをきっかけに、いろいろお手伝いにも行くようになりました。要は体力測定なんですが、前回よりも今回、今回よりも次、と自分の体力をいかに維持するか、ということをやっています。そこで感じたのは、みなさんすごく生き生きとなさって、いくつになっても評価されることは喜びや励みになるんだと。いい活動をしているなって実感しました。
<体力測定会>


体力測定会の様子。前回より今回、今回よりも次、と自分の体力をいかに維持するかが大切です。その結果を評価されることは参加者のみなさんの励みにもなっています。

松本さん(以下敬称略):今盛んに言われていることの先駆けになっていますよね。認知症とか、家に引きこもってしまっているお年寄りの問題とか。高齢の方は家の中での事故が多いので、それを減らすとか、そういった対策、取り組みがこのたまプラーザで早くからできていたことはいいのかなと思いますね。

朝香:そうなんです。松本さんがおっしゃるように、2030年問題、要するに、認知症とその予備軍と言われる人たちが2030年を迎えるころには1100万人にのぼるといわれています。そういう環境になったとき、われわれには何ができるんだろうかと考えると、そのことを地域の方に知ってもらうためにも、いろんな活動をしていかなくてはいけないな、という思いがあります。

小松:商店会としては、さまざまなイベントを企画して、みなさんにどんどん外に出てもらうことが大切だと考えています。子育て世代もおじちゃんもおばあちゃんも、四季折々のイベントに参加してもらいながら、もっとこの街を知ってもらえたらと。このあたりは緩やかな坂が多くて、散策するだけでもいい運動になりますしね。

松本:ウェルビーイング、その幸せな気持ちを追求しようとしたら、絶対ではないですけどやっぱり健康が第一です。歯が悪かったらおいしいものがなかなか食べられないし、足腰がしっかりしていなかったら外にも行けない、旅行もおっくうになってしまいますよね。みなさんが街に出て横のつながりができることは、認知症の問題、そして防犯、防災にもつながります。

朝香:イベントをきっかけに住民同士、横のつながりができて、いざというときに助け合えるといったことができたらすごくいいなと心から思いますね。今年の春にも健康フェスタを開催する予定です。私たち商店街が中心となって、これからも魅力的な企画で街の人たちの健康をサポートしていきます。


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Vol.1 たまプラーザ商店街へようこそ!~商店街から発信する“ウェルビーイング”~
Vol.3 たまプラーザ商店街へようこそ!~商店街から発信する“ウェルビーイング”~